【常識の嘘】電動自転車のアシスト力=坂道の登り易さではありません。
世間の常識で、アシスト力が強い電動アシスト自転車ほど坂道は楽に登れると信じられてますが、これは必ずしも正しくはありません!
普段からアシスト力が強い電動アシストが、坂道でも平地と同じように他の機種よりアシストを強めにかけ続けられるのなら、確かに、その自転車は、坂道でも強いでしょう。(ただ、今以上に、バッテリーの消費が早くなり、走れる距離も坂道を上れる高さもバッテリーの寿命も減るでしょうが)
しかし! 世の中、そう甘くはありません。
先日、消費者庁から
道路交通法に適合しない補助力が強すぎる「電動アシスト自転車」、消費者庁が注意喚起 「バランスを崩すなど危険」
なる、注意喚起が流れてましたが、日本国内で製造された正規品の電動アシスト自転車のアシスト比率には以下のような制限が法律で義務づけられてます。
電動アシスト自転車のアシスト比率の基準については、人がペダルを踏む力とモーターによる補助力の比(アシスト比率)が「走行速度時速10キロ未満では最大で1:2」「時速10キロ以上時速24キロ未満では走行速度が上がるほどアシスト比率が徐々に減少」「時速24キロ以上では補助力が0」になること
簡単に言うと、急坂を登る際など、その電動アシストが持ってる最大のアシストが必要になる場面でも、電動アシスト自転車のアシスト比率は、最大でも3分の2までで、3分の1は人の力で漕いでくださいということです。
普段、アシストが強いと言われてる機種も法律上この制限を超えることは出来ません(無視したら違法自転車で捕まるか製品回収か、消費者庁がわざわざ注意喚起したように、不必要に強すぎるアシストは事故の元です)。
そして、それぞれのメーカーのカタログを見てもらえばわかりますが、
普段、アシストレベルを低く抑えている機種(車体が軽いので普段それほどアシストを強めにしなくても快適に走れますという機種がこの部類に多い気がします)も、普段、アシストレベルを強めにしてる機種(車体が重いので、普段からアシストを強めにせざるを得ない機種が多い気がします)も、
基本、使用しているモータは大体240Wや250Wと同じような物ですし
(エネルギー効率95%前後と、動力源として使用するならウン十年も前に技術的には完成の域にあるの日本製のモーターが、同じような電力を消費して必要な時に出せる力にはあまり差はないということです。
当然ですよね。機種ごとに何種類もモーターを製造してたんじゃコストがかかりますし、日本国内では乗れませんが、海外の時速35kmや50kmも出るような電動自転車に使われている350Wや500Wや更に大出力のモーターを使ってる訳でもありませんし、
そもそも、電動アシストは魔法で動いている訳ではありませんので、モーターのエネルギー効率がほぼ同レベルなら、投入した電気量以上の仕事はできませんし、出せる力は投入した電気量に比例するというのが物理法則という物ですし、同じような電力量を消費して出せる力に極端な差があるとするなら、そもそも、根本的に設計自体がおかしいんじゃないかと思いますので。)
坂道でも、この制限は超えることは出来ませんので、その電動アシストの最大のアシスト力が必要になる急坂では、アシスト比率ではほとんど対等な関係になると思います。
すると、坂道でものを言うのは、アシスト力ではなくて、車体の軽さとその車体が本来持ってる走りのよさです。
というのは、
例えば、子供乗せタイプによくある車体の重さが30kgの電動アシストと、車体の重さが20kgの電動アシストがあったとすると、
(自転車に乗ってる人を押すために働くアシスト力は、アシスト比率が同じなら、どちらの自転車でも変わりませんので、ここでは乗ってる人の体重は無視して、自転車本体をアシストするアシスト力についてのみ考えます。すると)
- 30kgの自転車は、電動でアシストしてくれるのは3分の2の20kg分までで、残りの10kg分は人間の足で坂道を持ち上げなければなりません。
- かたや、20kgの自転車は、3分の2の約14kg分は電動でアシストしてくれるので、残りの約7kg分だけ人間の足で坂道を持ち上げれば済むことになります。
その差、3kg強で、重い自転車は、それだけ余分に人の力で漕がなければなりません。
しかも、30kgの自転車は20kgの自転車に比べると10kgの余分の重さを持ち上げるのに、「20kgー14kg=6kg」分の強いアシストを掛け余分に電力を消費しているにもかかわらずです。
電動アシストの制御に一般的に使われている踏力比例式制御方式(=それなりの力を出すには、それに見合った力でペダルを踏まないとそれ相応の力は出ません制御方式。言い方を変えると、ペダルに掛かる負荷に比例してそれに見合った力で漕いでくれたらそれに見合う力を出して差し上げましょう方式)というのは、重い自転車は、それ相応の力でペダルを漕がないと重力に逆らうそれ相応の力は出ませんよと暗に言っている訳で、
アシスト比率の上限に制限がないなら、上のような制限は出て来ませんが、法律でアシスト比率が決まっている以上、その制限は変えられません。
もし、それを覆す車種があったとするとそれは違法機種と主張しているような物です。
と、面倒な書き方をしてしましましたが、重い物を持ち上げるにはそれだけ余分の力を使いますというのは当たり前のことですね。
ということで、
私が、乗っている電動アシストは、これを選んだのは伊達じゃない!
この2年間に走った山道は、数知れず。
予備でバッテリーを増設すると100km越えの山あり谷ありの小旅行も出来ちゃったりしますので
以下はこの2年間で、実際に走り回ったコースの一部から。
◆ 標高624m。新幹線が走る峠の秘境「峠駅」
◆ 標高1,400メート。天に昇るような景色と急勾配の西吾妻スカイバレー。
◆ 標高 1610m。《雪の回廊》の蔵王エコーライン越えの100kmライド。
◆ 新緑の錦秋湖を眺めつつ、岩手から秋田まで。
◆ カルデラ溶岩ドームと火砕流堆積地帯の縦断。花山から鬼首へ。
◆ 電動アシスト自転車で325km。2泊3日の温泉三昧。
などなど、
ちょっと長距離を走ると、山や谷が行く手に立ちはだかるのが日本の国土ですが、
☟標高 1610mの山岳道路もなんのその
☟標高906mの峠往復の100kmも余裕で走る
☟バッテリーが切れても平坦路で30kmも私の足でも走れてしまった
☟エネルギー効率は、ガソリンならリッター670km相当。ロードバイクの2倍かも!の
車体重量20kgのPAS CITY-Xという走りの良い電動アシストになります。
実際の走行データから
電動アシストで獲得標高:1159m。大倉ダムー定義山ー七北田ダムを抜け、泉ヶ岳で温泉つかって来ました。
【走行データ】
- 走行距離 :74.26km
- 最大標高差:418m
- 獲得標高 :1159m
- 平均時速 :15.54km
- 最高時速 :51.46km
- 走行時間 :4時間46分
高低差とスピードのグラフを見比べてもらうと、多少の登りでも時速18〜20km。少々キツメでも時速12〜16kmぐらいで、走れているのがわかります。(なお、本人は至って楽に登ってます。)
*勾配25%以上ぐらいからでしょうか? ギヤを1速まで落とさなければ登れないような滅多にお目にかからないような激坂だと、時速10km程度にはなりますが、PAS CITY-Xでこれまで登れなかった坂はありません。